経皮毒

◆自分の健康を、価格の安さや便利さと引き換えにしていませんか?

近年、アトピー、花粉症、子宮内膜症など、原因のわからない病気が増えてきています。

今使っているシャンプーのボトルの裏を見てみて下さい。
何やら舌を噛みそうなカタカナの成分が、小さな文字でびっちり書かれていませんか?
『毒』とは書いてはありませんが、保湿剤のPG(プロピレングリコール)、界面活性剤のラウリル硫酸Na、酸化防止剤のエデト酸塩など、有毒な成分がたくさんあることをご存じですか?

化学物質すべてが人工的なものだったり、害のあるものというわけではありません。
2つ以上の元素が組み合わさってできているものが「化合物」と呼ばれています。
たくさんある化学物質の中で、現在、1500種以上の化学物質が有害とされています。

歯磨き粉、シャンプー、リンス、洗剤、化粧品、生理用ナプキン、おむつ、入浴用品、食品、農薬etc. 化粧品や日用品の多くは界面活性剤、保湿剤、湿潤剤、殺菌・防腐剤などの石油系化学物質から作られています。


◆『経皮毒』という言葉をご存知ですか?

化学物質などの異物が体内に入るには以下の3つのルートがあります。
@経口吸収:食べ物などと一緒に口から入る)
A吸入  :呼吸とともに吸い込む
B経皮吸収:皮膚からの吸収

『経皮毒』とは日用品に含まれる化学物質が、Bのルートで皮膚から体内に吸収されて、有害な作用を引き起こすことです。
食べるものや吸い込むものには気をつけていても、皮膚からの吸収には無防備な人が多いのではないでしょうか。
しかしながら、口から入った化学物質は90%が肝臓を通して分解・解毒されますが、皮膚から吸収されたものは10日たっても10%程度しか排出できず、多くが皮下組織や体内に蓄積され、リンパや血液に乗って全身に運ばれていきます。


最近皮膚に貼る薬が増えてきましたよね?
よく知られているのは湿布薬ですが、他にも喘息や狭心症の治療薬など様々です。
皮膚から吸収された薬剤は、数秒で血液に達します。
それくらい皮膚からの吸収力は速くて効果があるということ。
同様に化学物質も吸収されて、皮下組織の脂肪層に蓄積されていくのです。


合成化学物質の中には、有害な影響を及ぼすものが沢山あります。
何気なく使っているシャンプーやリンス、入浴剤、クリームやローション。

確かに皮膚には異物の侵入を防ぐ防御機能があります。
しかし、こうした日用品に含まれる『溶解剤』や『合成界面活性剤』は皮膚のバリアーを溶かして、有害化学物質が体内に侵入してしまうのです。

体の部位や年齢によっても吸収率は異なり、成人に比べて赤ちゃんや子供のほうが吸収率も副作用も高くなります。

また、皮膚の温度が高いほど化学物質が浸透しやすくなるため、入浴時は経皮吸収が10倍になります。
入浴剤やシャンプー・リンス、ボディソープなど、大丈夫ですか?

こうして有害物質が体に溜まって行くと、人によって出方はいろいろですが、あるとき突然アレルギーやアトピー、花粉症を始め、様々な症状を引き起こす可能性があります。
長い時間かけていろいろなものが複合的に溜まっていくので、原因の特定が難しくなります。


化学物質の影響を疑われる症状には、以下のようなものがあげられます。

皮膚のトラブル:頭皮のかゆみやフケ、抜け毛、手荒れ、主婦湿疹
アレルギー:花粉症、アトピー、喘息、食物アレルギー
婦人病:月経痛、月経過多、月経不順、早期閉経、不妊症、子宮内膜症、子宮筋腫
癌:特に乳房、子宮、皮膚など
脳の病気:アルツハイマー病、若年性認知症、パーキンソン病、うつ病
   母体から子供への影響として、自閉症、学習障害、多動症、適応障害


◆『石けん』と『複合石けん』どう違うの?

かつては薬事法で、日用品や化粧品に含まれるアレルギーなどの皮膚障害を起こす恐れのある成分の表示を義務付けていました。これが『表示指定成分』です。
それが2001年の改正で『全成分表示』となり、全成分が量の多い順に表示されるようになりました。
これには安全な成分と有害な成分が一緒に表示されているため、見分けがつきにくい状態です。

『キャリーオーバー』と呼ばれる、抽出の際に使用されたり、原料の安定のために配合されている成分は、表示不要という落とし穴もあります。

表示を見て、「石けんだから大丈夫」と思っている方もいらっしゃいますが、『複合石けん』には化学物質が含まれているので要注意です。
表示のトリックに注意して、品名をよーく確認しましょう。

石けん→『○○用石けん』
合成洗剤→『○○用合成洗剤』
両方含まれる→『○○用複合石けん』

と書かれています。

無添加の石けんは、天然の油脂に苛性ソーダか苛性カリを反応させて作ったもので、手荒れの心配もありません。

一方、ボディソープや複合石けんは肌に必要な皮脂まで洗い流してしまうので、乾燥肌や老化肌の原因になります。

かつて、ルーマニアの田舎を旅していた時、お世話になったお宅で食器洗いを手伝っていると、
「これは手作りの石けんだよ。牛脂から作るんだ。」
と教えてもらったのを思い出します。
お風呂がなくて、1週間に1度位お湯をわかして沐浴をするのですが、日常でも民族衣装を身に纏った少女が、イースターの祭りの時期だったので、新しい市販の石けんを大切そうに下ろしてくれて、「いい香りでしょ?」と嬉しそうに香りを楽しんでいた姿が思い出されます。

『複合石けん』でもこれくらいたま〜に、嗜好品のように大切に使うのであればいいのかなあと思うのですが、今の私たちの暮らしには氾濫しすぎかもしれません。
薬局に行くと、商品の多さと、その混ざり合った匂いにやられてしまいます。

合成洗剤は、化学物質が多量に含まれていて、特に赤ちゃんや肌の弱い人、アトピーなどの肌荒れの原因になります。

合成洗剤のほうが、石けんよりも衣類が白くなるような気がしますが、それは『蛍光増白剤』という衣類を白く染め上げる成分が含まれていているためで、これは発癌性が疑われています。
つまり白くなったように見えるけれど、実際は汚れが落ちているわけではない上に、洗濯後の衣類や布きんから皮膚や食器に付く可能性のある危険物質なわけです。

合成洗剤の怖さは、使うときに化学物質が皮膚から吸収されるということだけにとどまりません。
無添加の石けんは天然素材から作られているため、食べても大丈夫なものですが、合成洗剤は汚水として流されると環境を汚染して、分解されるまでに10年かかり、その汚染された水は私たちのもとに戻ってくることとなります。

◆『薬用・植物性・天然成分配合』という謳い文句に騙されていませんか?

『薬用』と付く石鹸は全て『医薬部外品』に分類されます。

『医薬部外品』は全成分表示の義務がなく、何が含まれているか全部はわかりません。
『植物性、天然成分配合』は、1%でも入っていれば、残り99%が石油系化学物質でも表記ができるので、あてにはなりません。

商品を購入するときは裏の『成分』も確認してみましょう。


◆歯磨き剤はお口の中を一掃する合成洗剤のようなもの

歯磨き粉・マウスウオッシュの成分には保湿剤としてPGプロピレングリコールがありますが、これは他の化学物質を体内に運び込む働きもあります。
またラウリル硫酸Na(合成界面活性剤)は細胞を死滅させる副作用があり、味覚を感じるための味蕾を破壊します。
これで善玉菌までもがやられてしまうというわけです。
口の中は皮膚の13倍も吸収率が高いので、危険なものを使うくらいなら使わないほうがいいかもしれません。


◆成人女性の4人に1人が子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患

生理用ナプキンには、血液をゼリー状に固める高分子ポリマー、塩素漂白された不織布など、発癌性の疑いのある石油系化学物質が沢山使われています。

生殖器の経皮吸収率は腕の内側を基準とすると42倍にもなります。
塩素漂白の過程で『ダイオキシン』も検出されています。
ダイオキシンは子宮内膜症や流産、死産を引き起こす可能性があります。
子宮内膜症がひどくなると、重い生理痛や月経過多、不妊症へとつながるとも考えられます。

私は自分で作った布ナプキンを愛用しています。
オーガニックコットンやネル生地などで作られた布ナプキンは、何度も洗って使えるのでゴミを減らして環境にも優しく、何より肌触りが抜群!!
ムレや痒みも解消し、生理痛や生理不順が軽減するケースも多くみられます。
また、自分の経血の状態を知っておくことも、体調チェックには大切。

発癌性の疑いのあるものを使いながら、癌を予防するために子宮頸がんのワクチンを打つ前に、まず布ナプキンを使ってみてはいかがでしょうか。

こうして女性の体に蓄積された有害化学物質は、妊娠や授乳を通して子供に引き継がれます。
特にこれからお母さんになる若い女性は、将来のためにも、面倒くさがらずに健康な子供を産むための体作りを考えることをお勧めします。


◆敏感な赤ちゃんの皮膚は大人以上に経皮毒の影響を受けやすい

使い捨てオムツも同様です。
生理は月に1回ですが、オムツは毎日、数年間続きます。
赤ちゃんの皮膚は薄く、経費毒の侵入が容易な上に、臓器の発達も未熟で解毒の機能も不十分です。
脳神経系なども影響を受けやすくなるわけです。

また、オムツのゴミは結構な量にもなります。
オムツのゴミの焼却から、またダイオキシンなどが排出される可能性もあるわけです。
全部おしめは大変ですが、たとえば家では布おしめ、外では紙オムツにするだけでもだいぶ違ってくるのではないでしょうか。


◆『美白』『ハリ』『潤い』本当に効果があるの?

いつまでも美しくありたいと思うのが女心。
美肌を保つために、『ヒアロルン酸』や『コラーゲン』などが配合された化粧品を選ぶ方もいらっしゃるかと思います。
しかしこれらの有効成分の多くは分子が大きいため、ほとんどが皮膚の表面に留まってしまいます。
反対に乳化剤である界面活性剤や湿潤剤のプロピレングリコールなど、分子が小さく有害な成分が吸収されて肌荒れの原因となっています。
肌が荒れるとそれを隠すために化粧品を使う・・・・そしてお肌はどんどん衰える。
悪循環ですね。

口紅に使用されるタール色素は発癌性などの危険があるので食品には使用禁止。
でも一般の女性は、一生のうちに約30本の口紅を食べているとか。
なんと無色のリップクリームにも含まれているとのこと。

夏は汗でお化粧が崩れやすい、口紅も落ちやすくて困ったわと『水でも落ちない』『落ちにくい』化粧品が次々と出てきますが、いかがなものでしょうか。
有害な化学物質が含まれているのに、落ちにくいときた日には、体内への吸収率も上がるというもの。
日焼け止め、UVカットなどの紫外線吸収剤には、アレルギーを誘発するものや発癌性物質もあるのに・・・。

イタイイタイ病の原因とされるカドミウムは、主に呼吸器系と腎臓に作用する有害物質ですが、こうしたものもファンデーションやアイシャドウなどに含まれていることがあります。

お肌のケアで皮膚がかぶれて皮膚科に行ったら処方されるのはステロイドとか・・・ありそうな話しです。


◆体への影響は?

有害化学物質は脂に溶けやすいものが多く、皮下脂肪に蓄積されますが、私たちの脳は60%が神経細胞膜などの脂肪からできているため、その影響を受けやすくなります。
化学物質は脂肪に溶け込んでいると、血液脳関門を侵入していきます。

近年自閉症、学習障害、多動症、適応障害などの発達障害が問題となっていますが、知能、学習、記憶、注意力、集中力、気分などを支配している神経伝達物質への影響も指摘されています。
胎児や乳幼児の脳は脂溶性化学物質がもっとも蓄積されやすいので、脳神経機能への影響が懸念されます。
また痴呆症やパーキンソン病などの脳の病気も増えています。

化学物質には環境ホルモンや発癌性物質なども含まれますが、体内に吸収され長いこと気づかぬまま蓄積されて、突然病気の症状が現れると言われています。

急に花粉症やアレルギー、ひどい手荒れなどが始まった場合、有害化学物質が溜まってきている可能性があります。
環境ホルモンは、月経異常、早発閉経、不妊症、子宮内膜症、子宮筋腫など増加する婦人病への影響も考えられます。


◆あいまいな安全基準

こうした製品を商品化するにあたっては、いくつかの安全テストが義務付けられて、認可を受けているわけですが、その安全性の基準はあいまいです。
単体の成分の安全性が認められても、複数の成分が混ざったときの安全性はどうなのでしょうか?
また、長期に渡る使用の影響などは不確かです。

アレルギーや皮膚障害を起こす可能性の高い成分を使用した場合、厚生労働省は薬事法で、その名称を記載するように『指定成分』というものを定めていますが、同じ成分でも、例えば洗剤と化粧品では管轄省庁が違うために、物質名が違っていたりなど、安全性の評価基準がはっきりしていないようです。


◆環境への影響

経皮毒の問題は、皮膚からの吸収による人体への影響にとどまりません。
生活排水として流された化学物質による環境汚染は深刻になってきています。
環境ホルモンの影響で、魚がメス化しているという話しもあります。
石油化学製品の焼却時に出される猛毒のダイオキシンは大気に排出されるため、商品を選ぶようには、その毒性を避けることが困難になっていきます。
地面や水にも流れ込み、食物連鎖を経て濃縮されて再び我々を脅かす可能性があるわけです。

ダイオキシンは排出が難しく、肝臓や脂肪組織に蓄積されて臓器障害や癌の発生が高くなります。性ホルモンや甲状腺ホルモンにも影響し、子供の脳の発達障害や精子の減少を引き起こします。
最近では子宮内膜症や未熟児出産などの原因であることもわかってきたそうです。

水道水にも沢山の有害物質が流れ込み、浄化した後でも200種類が入っているとか。
有害物質を除去するために使われている塩素も安全なものとは言えません。
お風呂やシャワーで肌が荒れる人も増えてきました。


◆どうすればいいの?

このように現在私たちは、普通に生活していても、大気や水や食材などからいろいろな有害物質が取り込まれてしまう環境に暮らしています。

空気や水道水、食材や外食など、選びようがないもの、または避けるのが難しいものもあります。
すぐに影響が出なくても、長い時間を経て蓄積されることで、様々な不調を生み出します。
だからこそ、自分で選ぶことのできる日用品、化粧品などは安全なものを使うことが大切です。

何を選び、何を使うのか。
あまりに沢山ありすぎて、知らなかったことにしてしまったり、悲観的になりすぎる方もいらっしゃると思いますが、すべてを使うなということではありません。
ただこうした状況を認識して、できる範囲で少しずつ減らすよう心がける意識が大切だと思うのです。
まず家の中を見直して、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

地球全体のためでもあります。

安全な製品を選び、日用品や化粧品の化学物質を減らすことは、自分の健康のためだけではなく、ひいては地球や子供たちのためにもなります。
長ったらしいカタカナが並んでいて、ついつい見過ごしてしまいますが、日用品に関する知識を高め、安全性についてもう一度考えてみて下さい。


いくら健康に気をつけていても、生きていればこうしたゴミは必然的に溜まっていくものです。
定期的なデトックスも大切でしょう。
食事や睡眠、運動も大切な要素となります。
また、クラニオセイクラルセラピーは体内の循環を促し、ホメオパシーのレメディはこのような化学物質の排泄を高める助けとなります。


便利なものを手放して、じゃあいったいどうすればいいの?
と思われる方もいるかもしれませんが、他にも様々な方法があります。
しくみがわかると、多少手間がかかることもあるかもしれませんが、もっとシンプルでらくちんになることも沢山あります。

またブログなどでもご紹介していければと思います。
そういえばCMで宣伝している商品は使わないほうがいいと聞きました。
かつてそういう仕事をしていたので、それには納得です。笑
でも製品ばかりが悪いわけではありません。
『何が自分に必要なのか、不要なのか』
まずはそれを考えてみて下さい。



≪参考文献≫
『出口のない毒 経皮毒』シリーズ 真弓定夫監修 美健ガイド社 2008
『見てわかる!図解 経皮毒』 山下玲夜 著  竹内久米司/稲津教久監修 日東書院 2006




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