環境|住まい


住環境というのは、人に大きな影響を与えます。
健康という点だけでなく、心、精神面においても、重要な要素だと思うのです。
もちろんこれらは連動したものだと考えられます。
自分が落ち着くなあと思う場所はどこですか?
自分の部屋、家は落ち着いて、心も体もくつろげる空間ですか?

『鬼に訊け 宮大工 西岡常一の遺言』というドキュメンタリー映画があります。
法隆寺、薬師寺の棟梁を務めた宮大工の物語です。
地を選び、木の癖を読み、工人の心を読む。
彼が作ったのは住居ではなく寺でしたが、大工の技のすごさを伝える作品でした。


大工さんってすごい仕事です。
そして、素晴らしい大工さんの建てた家は、これまた素晴らしい。

飛騨古川に『匠文化館』というのがあります。
飛騨には昔からすぐれた建築技術を持った匠たちの伝統が残っています。
釘を使わない継ぎ手の美しくも見事なこと!
千鳥格子もそのひとつ。
大切な仏像などが盗まれないように、パズルのような仕組みになっているのです。
飛騨にお越しの際には是非お立ち寄り下さい。

こうした技を継承する人も少なくなってきているのでしょうが、それでも飛騨地方では、今も匠の技による伝統的な民家が作られています。
本当に人間の手の技の可能性は測り知れません。

多くの人の手を介する。
それによって、茶道具のように『モノ』が力を帯びてくるような気がしてなりません。

だから、簡単組み立てポン、という具合の住居と違って、大工さんが手をかけて作り上げた家は、力強いものがあるのかもしれません。


ジャーナリストの船瀬俊介さんはこんな風におっしゃっていました。

常に消費者が強い企業を作り、企業が国を作ってきた。
日本は企業社会。それが腐ったら崩れてしまう。
なので日々チェックするのが消費者活動だ。


以下、以前聞いた船瀬さんのお話をまとめてみました。

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建築家には医療のことをよく知らない人も多いようです。
540種位の有毒物質が建築資材として使われています。
戦前にはこんなにはありませんでしたが、戦後アメリカの石油メジャーが出てきた影響でしょう。
木ではなく、石油で家を建てるようになって行ったわけです。

ハウスメーカーの住宅は寿命が約25年。
昔ながらの木造住宅は100年200年もつのが普通でした。

家を見る時は目で見てはいけない。鼻で見ろ。
空間よりも空気で見る。呼吸が楽かどうか。

ハウスメーカーの住宅は、
壁紙は『塩化ビニールクロス』、つまりビニールなのにクロス=布と言っている。
ようするにビニールハウスというわけだ。
畳も今やいぐさで作られたものではなく、ビニールと発泡プラスチック製が増えている。
フローリングも合板。
なんでこんな高い買い物なのに、沢山の人がひっかかってしまうのか。

新築の家に入ってみたら、呼吸ができない、玄関から上に上がれない・・・・
クレームを言っても弁護士がきて『何の手落ちもありません』

呼吸器障害、アトピー、化学物質過敏症、シックハウス症候群

人間が弱くなっているのか、住宅が強くなっているのか、
住宅による健康被害はあなどれません。

島根大学の中尾哲也教授の調査によると、コンクリート住宅に住む人は、木造住宅に住んでいる人に比べて死亡年齢が9年低いという結果が出ているそうです。
コンクリート住宅は体を冷やします。


静岡大によるネズミの実験では、コンクリ、金属、木の巣箱で100匹の赤ちゃんネズミで実験したところ、コンクリでは93匹が死亡。
木箱では85匹が生き残ったそうです。
コンクリで生き延びた7匹も、別のオスに牙をむいて襲いかかったり、メスは生まれた子をかみ殺して食べたとのこと。
心も体もズタズタです。

コンクリートによる冷えストレスは神経系、免疫系、内分泌系にダメージを与えます。

人間の子供たちはどうでしょう?
コンクリートの校舎で過ごす子供は、木造校舎の子供に比べて
疲れやすい 3倍
イライラする 7倍
頭痛 16倍
腹痛 5倍

ネズミを嫌がるコンクリート校舎に子供たちは通わされているのです。
登校拒否は30年で8倍に増えています。
虐待や衝動的な犯罪は増加し、いじめや学級崩壊も深刻です。

日本の建築は今やデザイン優先で滅茶苦茶になっています。
伝統の工法を考えるべきだと船瀬さんはおっしゃっていました。


すでにあるコンクリート校舎を全部建て替えろとはいわないけれど、中を木装するだけでも、だいぶ自然な空間になるそうです。
埼玉県のある小学校では、このリフォームで費用は5900万円。
子供の集中力は3倍あがり、暴力も減ったとか。

古代ギリシャ・ローマ、インカ、秦と古代の文明の多くは漆喰を使っていました。
今も残る遺跡にそれが見られます。
つまり5000年の風雪に耐えうるものだということ。
これに対してコンクリは50年しかもちません。

1990年代初めから2007年までに、北半球から4分の1の蜂が消えたという、ミツバチの大量死、大量失踪が報告されており、この蜂崩壊症候群の主な原因と考えられているのがネオニコチノイドという農薬ですが、これはアリの駆除のために建材にも使われているそうです。

そういう建材が使われている住宅に住んでいれば、子供が引きこもりや暴力的になっていく可能性も十分考えられます。


小児科の真弓先生は、冷暖房、新生児室のある病院で出産してはいけないとよくおっしゃいます。
冷暖房があると汗腺の発達が妨げられ、一番母子の接触が大切な時に、新生児室へ赤ちゃんが拉致されてしまい、精神的影響をもたらすとのこと。

ストレスを生み出す状況は、音、光、温度などの物理的刺激
今は光が滅茶苦茶。ひどすぎる。
そのうちの電気量と医療費は並行するといわれているそうです。
冷暖房、除湿機、加湿器、電気調理器、レンジ、ドライヤー


IHのオール電化が増えてきていますが、これもくせもの。
電気の使用量は3.6倍に増加、二酸化炭素の排出量も増えます。
台所に立つ女性は、ちょうど生殖器のあたりに、電磁波を浴びる形になります。
これからますます婦人科系の疾患が増える可能性も考えられます。



私は高校を卒業するまで、昔ながらの昭和の木造平屋建ての家に住んでいました。
子供の頃は、古くて、狭くて、寒くて、ネズミも出る我が家に友だちを呼ぶのを恥ずかしく思っていました。
2階建てで、アルミサッシで、畳より絨毯で、ソファをおけるような新しい家が憧れでした。
しかしながら、実際建てなおしてみると、昔の家が懐かしくなります。
人はいつも無い物ねだりをするものですね。


基本は大工さんの作った木造2階建てではありますが、きっちり閉まるアルミサッシに壁紙の壁、きっちりし過ぎたタイルやガラス、ドア、柱や石材などは、なんとも味気なく、よそよそしさが残ります。
庭の桜や飛び石もなくなり、半分位はコンクリートで固められてしまいました。
家は広くてあちこち便利になったけれど、家との距離ができた感じとでもいいましょうか。
昔の家の味わいは、なんだったのでしょう。
すでに新しい家が建って、昔の家に住んでいたより長い時間が経ちましたが、やはり愛おしさといいますか、馴染みはまだ薄い気がします。

これは、家が生きものだということなのだろうかと、ふと思う次第です。
昔の、大工さんが作った木造の家は、生きていたから、馴染みが深かったのかな、と。
家の個性なのか、そこに住んできた人たちの息づかいなのか、大工さんたちの思いなのか、自然な資材で建てられていたからなのか。(天然素材が全て安全というわけではありません。)
わかりませんが、そんな感覚です。

なんとなく思うのは、そういう建物のほうが、土地もまた馴染みやすく家を受け入れてくれる、そして家もまた、土地の力を頂ける、そういうこともあるのかもしれない。
地鎮祭を見て、そう思ったりもします。


防虫剤、防腐剤、接着剤、塗料、合板、集成材・・・沢山の有害化学物質で築き上げられた、一見便利で防犯もばっちりな洒落たデザインの住宅。

でもシックハウス症候群の主な原因は、

@建材、家具、日用品などの化学物質
A住宅の気密性
Bライフスタイルの変化による換気不足

家族の健康が犠牲になっているとしたら、それっていかがなものでしょうか?
安心な素材で作られているのかどうか、その点にも目を凝らしてみたいところです。


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